フィルタリング関連メモ

ICPCの「緊急シンポジウム 違法・有害コンテンツ規制の論点整理」がなかなか面白かったようです。

携帯コンテンツ規制 次の論点は - 雑種路線でいこう

フィルタリング事業者が「小さな投資で簡単に実現できる」とロビイングしているが、移動通信事業者は青天井の設備投資負担を懸念。総務省ブラックリスト方式の採用を求めているが、実効性やインフラ負荷の観点から移動通信事業者はホワイトリスト方式を望んでいる。

携帯コンテンツ規制 次の論点は - 雑種路線でいこう

事業者にとっては実効性はどうでもいいことだし、インフラ負荷はブラックでもホワイトでも変わらないと思います。ホワイトにするとパケット代の大幅減収は見込まれますが。それよりも、ユーザクレームの増加は確実なので、事業者の責任転嫁先として、お上のお墨付きは絶対欲しいはず。

実際には大人同士が利用する出会い系サイトよりもコミュニティサイトを規制した方が犯罪抑止に有効だが、総務省の研究会での議論ではコミュニティサイトは規制対象外という前提で議論している。

携帯コンテンツ規制 次の論点は - 雑種路線でいこう

コミュニティサイトを規制しても地下にもぐるだけなので、モバゲーとか何かあってもトレースしたり、対策を取らせたりしやすいところに囲い込んで置くほうが実効性はあると思います。

PICSやP3Pは普及しなかったじゃないかという反論も考えられるが、これはインセンティブがないからであって、未成年から使ってもらうためにはメタデータを付与するしかないという仕組みにすれば各社とも真面目に対応するのではないか。

携帯コンテンツ規制 次の論点は - 雑種路線でいこう

迷惑メール対策SPFも、ISP間でウダウダやってる間は全然普及しなかったが、DoCoMoがフィルタするといった瞬間に一気に普及率が上がったので、携帯各社が足並み揃えれば十分なインセンティブになるでしょう。携帯各社にセルフレイティング対応させるためのインセンティブをどうするかという問題はありますが。。


あと、崎山さんの発表資料が公開されてます。情報がまとまっていてわかりやすい。
いわゆる「違法・有害サイト規制」について(2) のかわり

インターネット協会(それ以前は電子ネットワーク協議会)のフィルタリングについての活動は、初期の段階からどうみてもセルフレイティングよりも第三者レイティングに重点を置いた活動をしてきているし、より広く「違法・有害情報対策」という観点でみれば、「青少年に有害な情報」を含めて、棲み分けではなく抑制されることが望ましいという態度で一貫しているといえる(正面から尋ねれば否定するだろうが、全体としてはそう評価するほかない)。

なぜセルフレイティングは日本で普及しなかったのか

ルフレイティングに可能性はありそうだけど、業界的には後ろ向きか。面倒な仕組みを普及させるよりブラックリストの方が分かりやすいしなあ。まあ、二択ではなく、合わせ技でもいい気もする。迷惑メールとの対比だと、分かりやすいデータベース方式の振り分け方法が先行して普及したけど、とにかくトラフィックが増えて困るので技術的に何とかしようという草の根的にSPF/DKIMは普及しつつあるわけで。完全な撲滅が不可能で軽減策しかないてんは共通しているので、複数の技術で実効性を上げていくのが正しいのかも。